映画「海を感じる時」は、2014年の9月13日に劇場公開された安藤尋監督によるラブストーリーになっております。

元になっているのは中沢けいが若干18才にして第21回群像新人文学賞受賞作に輝いた自伝的文学になり、「blue」や「僕は妹に恋をする」などの恋愛映画の名手によって実写化されている作品になります。

あらすじ

千葉県内のとある海辺の町に住む女子高校生の恵美子は、幼い頃に父親を亡くして母子家庭で育ちました。

学校内の部活動では新聞部に所属していて、先輩の洋に仄かな思いを抱いています。

ある時を境に相手の求めるままにキスや初体験を捧げていきますが、他者との交流を嫌う洋にとっては恵美子は都合のいい女でしかありません。

娘を厳格に育ててきたはずの母は洋から送り返されてきた手紙を盗み見て、ふたりの異様な関係性に気付き恵美子に対して怒りを露にしました。

高校卒業後に花屋でアルバイトを続けながら洋の上京先のアパートで逢瀬を重ねてきた恵美子は、自分自身のために洋との関係を変えることを決意するのでした。

キャスト

ヒロインの恵美子を演じている、市川由衣の多彩な表情が魅力的でした。

1986年東京生まれの女優さんになり、2008年の井上春生監督のヒューマンドラマ「音符と昆布」でアスペルガー症候群の姉を優しく見守っていくフードコーディネーターに扮していたのが印象深かったです。

この映画の撮影当時は27才ながらも、高校の制服姿も違和感なく大胆な演技を披露していました。

洋役にキャスティングされている、池松壮亮の静かな佇まいも良かったです。

本作品が公開された2014年は「ぼくたちの家族」や「紙の月」などの数多くのヒット作品と、ブルーリボン賞やキネマ旬報ベスト・テンを始めとする映画賞に恵まれた飛躍の1年でもあります。

見どころ

手当たり次第に身近にある物を投げるシーンや、引きずり回して平手打ちを加える場面など俳優たちの迫真の演技に引き込まれていきます。

恵美子が愛憎半ばする母親がたどってきた道のりと、同じような人生を歩んでいく姿が皮肉な味わいでした。

たったひとりの理解者であったはずの父親を失った寄る辺のなさと、肉体的な繋がりでしか恋愛を実感することが出来ない不器用さには胸が傷みます。

少女から大人の女性へと生まれ変わっていく美しくも危うげな様子と、変わることのない海の風景とのコントラストが圧巻でした。

今まさに若さを謳歌している皆さんばかりでなく、かつて青春時代を送った方たちにもお勧めな1本になります。